2011/07/04

目玉焼き。


いつ始まったのか思い出せないくらいの、長い長い二日酔いから醒める間もなく迎えた新しい朝、

僕はいつものように

『おはよう。』

を言い忘れ、

彼女が作ってくれた、きっとため息の分だけ固くなった目玉焼きを無感動に食べながら、少しだけ笑顔の練習をしてみる。

『美味しいね、』

なんて、信じてもらえないのを分かりつつ、僕は口に出してみる。

『ありがとう。』

と言いながら少しだけ笑った彼女に、僕は少しだけホッとして家を出た。


彼女の笑顔と苦いコーヒーのお陰で、少しだけまともに戻った頭で僕はここ数日間引っかかっている何かを思い出そうと試みてみる。

僕のこの数日間の深酒は、その何かを思い出さなくてはという脅迫観念から飲んでいたんだと思う。
酒を飲むことによって、その頭の奥のフックに手が届くんじゃないだろうか、、なんて。

けど、結局のところ、僕は酒を飲みたかったから飲んでいただけなんだ、
と開き直り、それ以上考えるのを諦め、酒を飲まずに家へと帰った。


家へ帰ると、

そう、

そこには何もなかった。

クローゼット、靴箱、洗面所、その他のあらゆる二人のスペースから、きれいさっぱり彼女の分だけ物が消えていた。

そう、

僕はひとりになった。


『かちり』


そして僕はようやく引っかかっていた何かを思い出す事が出来た。
今日は彼女と出会って一ヶ月目の記念日だったと言う事を。



という訳で、wallflowerが出来てひと月が経ちました。
wallflowerは居なくなるどころか一ヶ月分この土地に馴染んできました。
色々な方の足音を秒針代わりに、チクタクと時を刻んでいます。

12日まで僕もお店に居るので、もしお近くの方やちょっと無理すれば来れる方は是非足を運んでみて下さい。

それとwallflowerのブログが始まってます。
基本的には店長が(僕と違って)毎日書いてくれてます。
出来上がったばかりの一点物の洋服が見れます。


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